科学・技術と自然環境について、教育を考える。
これも「やらせ」ではないか?
これも「やらせ」ではないか?

 旧教育基本法を変えて、安倍内閣提案の新教育基本法を通さんがために、タウンミーティングで意見陳述者に政府案に賛成する発言を依頼したり、改訂賛成者を動員したりした、いわゆる「やらせ」が露見して問題になった。その後、他の公聴会にも八百長が仕組まれたことも告発された。政府機関の関与するものばかりでなく、産経新聞主催のタウンミーティングにも同様の「やらせ」が過去にあったこと暴露された。この種の「やらせ」はまだまだあると思われる。
 公聴会やタウンミーティングなどの意見聴取は、世論を民主的に聴取するかのごとく装うためのカモフラージュに利用されることの方が多かった。政府や主催者の結論は、最初から決まっていて、反対意見は言わせるだけであってほとんど無視されてきた。

ところで、政府や役所の「やらせ」はこれだけではなく、各種審議会や諮問会議はほとんど大っぴらの「やらせ」ではないかと思う。この種の会議の委員は政府機関や役所が選んで任命しているからである。

 たとえば、昨年末に委員長が問題になった「税制調査委員会」も典型的な「やらせ」である。前会長の本間政明阪大教授は、法人税減税について安倍首相や財界と同じ意見であった。だから、安倍首相は彼を税調の会長に選んだ。 
 日本の法人税40パーセントは欧米と較べて高すぎるから、景気をよくするために企業の減らすべきだと、本間教授は主張していた。しかし一方では、国民の所得税や掛け金を上げている。それも生活の苦しい低所得者まで増税した。それに引き換え、大企業は莫大な利益を上げて、金がダブついているという。法人税が低いのはヨーロッパであって、アメリカは低くないそうである。そして、ヨーロッパは日本のように国が大きな借金を抱えていない。しかも、日本では国や地方自治体は膨大な借金を抱えて、破綻しかけている。  
 このような状況なのに、今なぜ法人税を下げるのかと腹立たしいく思っていた。政府や本間教授の意見には、当然ながら批判や反対意見が出ていた。それにもかかわらず、安倍首相は本間氏を税調会長に任命して、自分と財界の意見に沿った答申を出させようとした。これは公然とした「やらせ」であろう。 本間教授はスキャンダルのために、税調会長を更迭させられたことは国民にとって幸いであったと思う。
 
 別の例として、文部科学省の審議会がある。審議会委員の人選は文部科学省が行う。文科省の政策に批判的な人を一人か二人加えるが、ほとんどは文科省寄りの人か、そこに繋がりのある人が選ばれる。反対意見も聞いているとの体裁を整えるために批判者を僅かに加えるのであろう。だから、結論は初めから決まっていて、文科省のお膳立てした答申の「承認機関」の役をさせられてきた。これも一種の「やらせ」といえるであろう。 そのように構成された委員会でも、時には反旗を翻して反対意見を答申せよと言う人(あるいは会)があるが、それも役人によって骨抜きにされた答申に曲げられてしまうと、激怒して委員を辞任した人がいた。これはつい最近マスコミで報道されたことだから、記憶に残っているであろう。

 私的諮問会議は別として、公の各種審議会や諮問会議の人選を第三者が行わずに、当事者の役人が行うのでは余り意味がなく、単なる承認機関となってしまう。このような制度を改めなければ、ほとんどの行政は「やらせ」で動かされているといっても過言ではないだろう。 

 最高裁判事の任命も政府であり、日銀の総裁人事もそうだし、政策も政府に規制されている。近代民主国家の三権分立制など絵に書いた餅同然であろう。国民は気づかないまま、この制度・慣例に載せられているのではなかろうか。最近露見したタウンミーティングの「やらせ」よりも怖いのは、日本のこの体質のように思える。
スポンサーサイト
Copyright © 2005 自然と科学. all rights reserved.