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科学・技術と自然環境について、教育を考える。
吉野彰氏のノーベル化学賞おめでとう
吉野彰氏のノーベル化学賞おめでとう
 
  旭化成の吉野彰名誉フェローがノーベル化学賞を受賞した。民間会社の研究者は久し振りの受賞である。今年も日本人科学者が受賞したと、みな喜び祝った。

リチウムイオン電池の開発で、最後の仕上げを完成させ、実用化を可能にした功績が評価されたそうである。 
リチウムイオン電池は、電池の寿命が延びるだけでなく環境にも優しい。現在ガラケーやスマートフォン、ノートパソコンやデジタルカメラなどの電子機器、電気自動車や航空機の動力源としても使われている。さらに、小惑星探査機「はやぶさ2」にも搭載されるなど、地球上だけでなく宇宙空間でも活躍していて、今では人類にとって欠かせないものとなっているそうである。

吉野氏は環境問題に関心が強く、リチウムイオン電池が環境問題の解決につながることに強い意義を感じていて、スウェーデン王立科学アカデミーから「環境問題の解決に役立つ技術」とコメントされたことを喜んだそうである。
これまで日本のノーベル賞受賞者は、自らの研究課題に関することばかりでなく、日本の研究体制や環境問題など人類の抱えている課題に関心を持ち、コメントはいつも立派で敬服する。

リチュウムイオン電池は、それ自体としては、環境汚染を減らし環境問題の解決に役立つというのはその通りである。だが、そうとばかりいえないことにも留意すべきであろう。

吉野氏の素晴らしい業績に水を差す積もりは毛頭無いが、リチュウムイオン電池ばかりでなく、画期的技術の発明はその活用の仕方によっては、逆の効果も起こりうることを考慮すべきである。

以前、赤崎・天野・中村氏らが開発した青色LEDの技術は、高輝度LED照明への道を拓きノーベル物理学賞を受賞した。そのとき、ノーベル賞選考委員会は「白熱電球が20世紀を照らした。21世紀はLEDが照らす」とその功績を讃えた。その通り、LEDの照明具は長持ち、電力の省エネ、自然色に近いという長所を有するゆえ、第四世代の明かりとして世界を照らしている。しかし、21世紀を照らし過ぎないようにしなければ、省エネとは逆になると、LEDの受賞当時に私は書いたことを思い出す。実際に、今ではイルミネーション、デコレーション、ライトアップなどが氾濫し、世界を照らしすぎて省エネどころではない。これに似たことは、真空管に替わるトランジスターなど、他にも多々ある。

製品の小型化による省資源・省エネを目指した技術が、広く普及利用されて大量の生産品が氾濫し、逆に資源・エネルギーの大量消費をもたらした。吉野氏にしろ、中村氏などにしろ、省エネにより環境破壊を止め、人類の生活を豊かにしようとの意志願望とは逆の結果になりかねない。資本主義社会における規制のない市場原理優先の経済の下では、必要以上の製品開発、大量生産により弊害も出るだろう。人類は便利さや、物質生活の豊かさを追求するだけでなく、同時に精神革命によって生活スタイルを変えねば、折角の素晴らしい科学・技術開発はよい結果をもたらすとは限らない。
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