科学・技術と自然環境について、教育を考える。
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「隠蔽」、「談合」、「やらせ」の風土
「隠蔽」、「談合」、「やらせ」の風土 

福島原発の事故以後、原発と放射能を巡る議論が連日盛んにマスコミを賑わせている。政府・東電が情報を出し渋り、後から次々に出てくる事実に、国民の不信と憤りは頂点に達している。
 
 戦後、自民党(後に公明党が参加)の長期政権は、国民に当然公開すべき情報を隠蔽し、操作して政治をコントロールしてきた。そのうち、政・官・財の癒着による水も漏らさぬ隠蔽体制ができあがった。その体質にマスコミも巻込まれていった。 

政治家、官僚の汚職・天下り、業界の談合などは、よほどのことがない限り表沙汰にならなかった。自民党の議員は、汚職や失政を重ねても、次の選挙で「禊ぎを受けた」と称して堂々と政権の座に返り咲いてきた。それを許した選挙民も悪いが、権力と国庫を一手に握り、交付金と利権で選挙地盤を堅め集票ができる制度を自民党政権は築いたのである。

 やっと目覚めた国民は長期政権の弊害に気づき、民主党に政権を取らせた。だが、民主党政権は力量不足であった。その上今度の東日本大災害の対策が遅れ、菅内閣と民主党の支持はがた落ちである。野党が力量不足なのは長年一党支配が続いたせいである。しかし、政権が変わったことで、それまで隠されていた政府の腐敗、隠蔽体質など多くの悪弊が表に出た。

 福島原発の事故によって、日本の原子力政策がいかに歪んでいたか、政・官・財が一体となって、批判や疑問を投げかける者を排除して、原子力村と「安全神話」をいかにして作ってきたかも大分明らかにされた。そして、安全神話の上に安眠を貪り、安全対策の研究を怠ってきた。
 日本の原子力政策に対する批判と「脱原発」がわき上がっている最中に、玄海原子力発電所2、3号機の運転再開に向け、6月に日本の経済産業省が主催した「佐賀県民向け説明会」での九州電力の「やらせ事件」(関係会社の社員らに運転再開を支持する電子メールを投稿するよう指示した世論偽装工作事件)が明るみに出て大騒ぎになった。

 「やらせ」は今度のことに限らず、長年広く続けられてきたことは知る人ぞ知るである。「やらせ」と「談合」は体質的には同類であろう。政府主導の公聴会、国民対話、タウンミーティングでは昔からやられてきたというから、これは慢性化している。それに習って、地方自治体、企業の公聴会や説明会なども「やらせ・サクラ」は当たり前になった。

だから、今度の場合も佐賀県知事と九州電力幹部とは「阿吽」の呼吸で進んだようだ。そのような習慣と体質に慣れているから、彼らの弁明を聴いても罪の意識が感じられない。長年の間にこのような風土だできあがってしまった。

 いま、マスコミがこの「やらせ」を大きく取りあげたが、今さら何を大袈裟にといいたい。最近、この種の内部告発は 「しんぶん赤旗」がスクープして初めて問題になるものが多い。ほとんどの新聞・テレビ・ラジオは自ら言い出さず、ことが大きくなると、我も我もと毎日のように報道して攻撃する。まさにマスコミ全体がワイドショウ化している。自らの姿勢を顧みて、改めて欲しいのはマスコミにも当てはまる。
 もし、自民党政権が続いていたら、その隠蔽体質と責任回避のために、福島原発事故の原因も九電のやらせも、ここまで暴露されなかったであろう。

 過去の政府の秘密主義、隠蔽体質で思い出すもっとも腹立たしいことは、沖縄返還の時の秘密協定である。沖縄返還に伴い、その経費を日本政府が負担するという秘密協定が後年漏れてきた。国会でいくら追究されても、政府はその協定の存在をがんとして否定し続けた。だが、毎日新聞の記者が外務省の女性役人から秘密協定の内容を聞き出し、スクープして大騒ぎになった。ところが、政府はそれでも協定の存在を認めず、逆にその記者と役人が公務員法違反で告発され、裁判で有罪になった。これは法治国家としてあるまじき結末である。政府が秘密協定はないというのなら、それをスクープした記者も役人も秘密漏洩にならないし、公務員法にも違反してない、架空の記事であるはずだ。それなのに、彼らだけ有罪になるのは法治国としては矛盾である。しかも、自民党政権が崩壊し、民主党政権になったら、やはりその秘密協定はあったことが明るみに出た。しかし、当時、国会で嘘の答弁をした政府・官僚は一切罪にならず、問題にもならない。国会での偽証罪は政府には適用されないのだろうか。

 近年、マスコミの記者は自分の足で取材せず、プレス発表に頼るようになったとよく言われる。だからスクープや人を引きつける記事が少ない。そのような体質になった一つの原因は、折角足で稼いだ記事も、社の方針と合わないものは没にされるということもあろう。いずれにせよ、いまのマスコミの体質は改めて欲しい。
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