科学・技術と自然環境について、教育を考える。
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紹介『複雑系科学の哲学』(仮題)
複雑系科学の哲学概論(仮題)  

(このたび、このような冊子を作りましたので紹介します。興味のある方で、希望があればその原稿をメールで送ることができますので, このメールアドレスに連絡下さい。rsugano@feel.ocn.ne.jp )

まえがき

 物質には自己組織化、進化する能力が具わっている。それゆえ、自然科学は物質の存在様式とその運動法則を認識する科学、いわゆる「存在の科学」だけでなく、発展・進化のの様相と法則を追究しなければならない。そうしなければ、自然科学は自然の仕組みについて半分しか認識しないことになる。宇宙自体を含めて物質の発展・進化の問題を対象とする科学が複雑系科学である。その後、その対象は生物や社会現象にも拡張れてきた。
複雑系科学の研究の意義が認識され、この分野は近年急速に発展している。その複雑系科学の理論は、単に物質系に限らず、生物圏、人間の社会的営為や、あらゆる組織の活動にも適用されるので、重要性がつとに高まっている。そのことを意識して、日本科学者会議第18回綜合学術研究集会(2010年仙台)において、初めて複雑系科学の分科会が設けられた。このとき分科会参加者によって、「複雑系科学研究会」を発足させることが合意され、翌2011年に第1回複雑系科学シンポジウムが大阪で開催された。それ以後、春にテーマを絞ったワークショップ、秋にシンポジウムを開催し、多面的なテーマについて活発な研究討論が続けられている。

 この冊子は、その研究会で報告した拙論を軸にして、複雑系科学の方法と論理を科学哲学の観点から総合的に纏めたものである。筆者は複雑系科学の専門家でないので、取りあげた課題は物理学を中心としたために、偏っていて不十分であるだろうし、誤解もあるかも知れない。
 皆さんの忌憚のないご批判やコメントを頂き、加筆・修正して改良したいと思いこの冊子を作りました。
 
 本論考は「複雑系科学研究会」がなければ生まれなかった。この研究会で議論していただいた方々、特にこの研究会の発足と討論に尽力された東北大学名誉教授嶋田一郎氏、およびこの研究会の組織・運営に多大の尽力をされた研究会事務局長の長野八久氏に感謝します。
   
目次

第1章 複雑系科学とは:複雑系科学の位置づけ
 (1)「存在の科学」と「発展の科学」
    複雑系科学とは、 複雑系科学の特性、
(2)第三科学革命:発展・進化の科学の誕生
第2章 複雑系科学の基礎概念
(1) 物質系の構造や状態に関する概念
    非平衡、散逸開放系、散逸構造、対称性、フラクタル
(2)力学的作用に関する概念
    エネルギーとエントロピー、 エントロピー増大の法則(熱力学第2法則)、
  シナジー(協同性)
(3)状態変化に関する概念
    相転移、対称性の破れ、発展・進化、可逆性と不可逆性、
    発展・進化の不可逆性:ミクロの素過程は可逆的、
    時間の矢:エントロピー時間、アトラクター、カオス
第3章 自然界の階層性
  (1)自然の多様性と階層性
     階層性とは:ミクロの階層、マクロの階層、 階層を区別するもの、
  (2)物質の階層性
  各階層には固有の構造と法則、階層時間
(3)力の階層性,力(相互作用)の3要素、相互作用(力)の階層性、
     相互作用の閉じ込め(遮蔽)、力の多様性、
第4章 対称性の破れと自然界の多様性
(1)自然科学における対称性 
     対称性とその意義
  (2)対称性の破れ
 自発的対称性の破れ:自己組織化
     自発的対称性の破れに関する南部理論、ヒグス場による真空の相転移
  (3)相互作用の統一理論:対称的相互作用の分岐 
  弱電統一相互作用の分岐、 質量の起源
第5章 自己組織化と発展・進化
(1)体系 (system):相対的に安定な部分系
  (2)自己組織化とは
  (3)相転移
相転移の本質、量による質の転化、
  (4)複雑系の条件
     複雑系の特徴
  (5)自己触媒の発生
  (6)相転移による自己組織化、階層の形成
階層の生成と対称性の破れ、自然界(宇宙)のアトラクター  
(6)定常性の維持と否定の対立拮抗、
第6章 物質進化の定義と進化の機構
 (1)進化とは何か
進化の意味は単純ではない、
(2)物質系の運動と発展・進化  
(3)物質系進化の評価基準-進化度の定義
   物質進化の必要条件、体系の形状と自由度
  (4)エントロピーとエネルギーの放出機構
   体積膨張、化学ポテンシャルや輻射による放出
(5)地球のエントロピー放出機構
     地球上での散逸構造発生の源は太陽エネルギー
(6)階層構造と進化
  (7)散逸構造とその生成:自己組織化
     カオスの縁、複雑適応系 
  (8)自己組織化と自然淘汰
     適応進化
 (9)物質系の自己発展と自己反映
     自然科学は自然自体の自己反映
第7章 進化現象の不可逆性について
(1)可逆性と不可逆性
(2)エントロピー増大則と宇宙進化は矛盾しない
エントロピーの放出と収納機構
  (3)宇宙のエントロピー散逸機構と宇宙進化
 宇宙膨張は発展・進化の必要条件を用意、十分条件ではない
  (4)発展・進化の不可逆性:ミクロの素過程は可逆的
非線形性による場合、時間の矢について
第8章 不確実性と確率的予測
(1)複雑系の発展・進化過程の不確実性と予測不可能性の要因
   非線形性によるもの、カオス性によるもの、2次・3次情報によるもの、
     揺らぎによるもの
 (2)確率的選択則とその解釈
決定論での予測不可能性について、 非線形法則における分岐枝
     揺らぎによる予測不可能性
(3)確率的予測は原理的なものでなく、不可避的なものとは限らない
(4)量子力学的確率法則とは異質
第9章 複雑系科学の哲学
  (1)時間とその不可逆性について
     時間は運動のうちに在る、時間の可逆性と不可逆性、
     エントロピー的時間の不可逆性
 (2)実体の存在について
   変化のなかの自己同一性、
物質の本性は相互連関と運動:実体は消えたか?
 (3)相対的実体の意義: 階層における実体
  (4)部分と全体: 創発の形態
     階層間の相互規定性
 (5)分析法、特に要素還的分析法の根拠
  分析的方法の形態、 分析的方法の根拠、
     下からと上からのアプローチ(分析と綜合)の協力が必要
  (6)複雑系科学における分析法
     創発について 
  (7)複雑系と自然弁証法
   (i)複雑系における対立概念とその対立拮抗
   (ii)対称性の破れと自然の進化
      なぜ自然界の対称性が破れるのか? 宇宙・物質の自己発展性
  (8)自然科学は自然自体の自己反映活動
科学の不完全性:自己言及型の論理、「観測」が理論体系の中に入る、
    量子論の不確定性関係、 自然の仕組み:相互規定的存在の理法
  (9)自然科学と価値観
    (i)自然科学は没価値的理論か
(ii)対称性の破れと「価値」概念
(iii)科学理論に含まれうる「価値」概念
(iv) 技術の価値 
第10章 科学理論の形成過程と進歩-複雑系科学の観点から
  (1)科学理論の本質的性格
(2)科学のサイバネティクス的構造
(3)理論体系の構造
     演繹的体系、理論体系の完備性、理論体系のネットワーク構造
  相互規定的循環構造
(4)法則と理論体系の形成
  規則性・法則の形成、演繹的理論の体系化
(5)複雑系としての科学
     協同性効果,理論体系は散逸構造,理論体系の自己発展、
     科学革命は「自己否定的脱体」、科学革命はカオス的相転移
(6)科学革命の連続性と不連続性

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