科学・技術と自然環境について、教育を考える。
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出口の無い袋小路
出口の無い袋小路   

いよいよ参議院選挙が近づいてきた。安倍内閣は景気よく出発したが、「アベノミックス」はもうすでにその危うさが露呈している。しかし、まだ結構高い支持率が続いている。 今度の参議院選挙の大きな争点は、第一が経済復興と消費増税、次に憲法改訂、原発再稼動と続くであろう。憲法第96条(改憲は2/3多数決制)の 改変は、批判が強すぎるので安倍首相は少し色合いを変えてカモフラージュせざるをえなくなった。
論ずべきことは多いが、ここで論じたいものは「アベノミックス」と安倍内閣の原発政策である。

 物事は初めより終わり方が難しいと言われる。特に大きな物事は収拾の仕方が難しいという。「戦争は始めるよりも、終わらせる方がはるかに難しい」という有名な言葉がある。 

景気回復のためといって始めた金融緩和により、だぶついた国家財政を将来どう収集するかも難しい問題である。紙幣を印刷して撒くのは簡単だが、回収するのは大変である。アメリカFIBのバーナンキ議長が、景気改善の兆しが見えてきたから金融緩和策を少し引き締める可能性を口にしただけで、世界の株が暴落した。正に一触即発のカオス的現象であり、行き過ぎた金融緩和を収拾することの難しさを示している。金融緩和でだぶついたお金は麻薬であり、世界経済は麻薬中毒に冒されている。 

 日銀の黒田総裁は、「アベノミックス」の第一の矢として、無制限の金融緩和をすると高言して始めたが、実質成長を伴わない金余り景気は正にバブルであって非常に脆い。経済成長の目論みに反して長期金利が跳ね上がり実質成長に悪影響がでた。さらにアメリカの煽りを受けて日本株も一時乱高下を繰り返したので、安倍首相と黒田総裁は内心肝を冷やしたろう。

 千兆円という巨大な赤字を抱えた日本の国家財政を背負ったまま、行き過ぎた「異次元金融緩和政策」を将来転換して事態を収拾するのはアメリカ以上に至難の業であろう。一つ間違えると大混乱に陥り収拾がつかなくなり、国家財政は破綻する。

収拾が困難という点で共通するものは日本の原発である。安倍政権が目指す原発再開の政策についても、上記の財政問題と同じことがいえる。これも「行きはよいよい、帰りは怖い」の例である。
 自民党政権は、民主党の政権の立てた「脱原発」を転換して、休眠原発の早期再稼動を内々に予定していたが、先の衆議院選挙の時は「いま結論をだすのは早い」といって言明を避けた。だが方針はすでに決まっていたと思う。最近は原発ゼロ政策を明確に否定して、国外へは原発の輸出を、国内では再稼動に向けて動き出している。使用済み核燃料の始末も、また老朽原発の対策と廃炉法の見透しもないまま、原発依存の方針を復活しつつある。
   
 日本政府と原子力産業は、将来必ず問題になる使用済み核燃料の処理法と老朽原発の廃炉法の対策を待たずに、当面の電力事情のみ勘案して次々に原子炉を建設してきた。 日本政府が原子力発電に踏み出すとき、初代の原子力委員長正力松太郎が「(国内で原子炉の)研究などしなくても外国から炉を導入すればいい」と言って湯川秀樹委員を怒らせた。「こんなことでは委員になった意味がない」と湯川委員は不満の持ち、一年で委員を辞任した。日本の原子力政策は、しっかりとした将来の見透しも無いまま、目先の需要に囚われて出発したのである。

 福島の原発事故の後、事故原因の調査もきちんと完了せず、廃炉対策も見透しのないまま、しかもこれまでの原発政策の誤りについて十分な検討も反省もせずに、原発復帰と再稼動に踏み切ることは、初期の失敗をまた繰り返すことになるだろう。

 日本の原発問題には出口がないというのは、溜まる一方の使用済み核燃料の処理、事故および老朽原子炉の廃炉方法ばかりではなく、原発のある自治体の財政問題である。前二者の燃料と廃炉の処理については、現在の科学・技術レベルでも費用を掛ければできる。しかし、原発に関してこれだけ不信を国民に植え付けてしまっては、スムーズには進まない。情報隠しで不信を募らせている地元や関係者の抵抗があり、事ごとに揉めるであろう。また、廃炉については、交付金や寄付金に依存してきた地元自治体は、それが停まれば財政破綻をする。この麻薬金からどう抜け出すのかその方策もないままである。

 現在の日本は、財政政策に関しては巨大な累積赤字の上に無制限の金融緩和の結末を将来収拾できる保証もなく、原発に関しては使用済み核燃料と廃炉の処理方針もないまま、出口のない袋小路に向かって進んでいるように思えてならない
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