科学・技術と自然環境について、教育を考える。
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無計画な原発一斉再稼動の申請
無計画な原発一斉再稼動の申請

 電力会社は休眠中の原発の早期再稼動を強く望み、その準備をしていたことは周知のことであった。原子力規制委員会の審査基準が公表されると、待ってましたとばかりに4電力会社は一斉に停止中の原発に対して基準の適合検査を申請した。東京電力は地元に事前相談もなしに申請しようとして、事故の被害者と福島県知事の怒りで申請を引っ込めざるをえなかった。

 電力会社が原発の再稼動の必要性を言うのは、「電力不足」がその理由ではなく、石油発電のコストが高いので会社経営、つまり財政問題であることは明かである。現在停止中の原発を使えば当面の経営は改善されるだろう。しかし、将来のことを考慮すれば、必ずしも経営改善とはならない。
 その理由は、使用済み核燃料の処理、老朽炉の廃炉、事故対策費用などの将来計画・将来像がなく、それらの経費を計算に入れてないからである。原発の発電コストは自然エネルギー発電と較べて必ずしも廉価ではないことは周知の事実である。原発を再稼動すれば処理できない使用済み核燃料はどんどん溜まり、困ることは目に見えている。それゆえ、今の原発再稼動は、当座の経営危機を先送りするだけになる可能性が強い。
 
 福島第1原発事故の原因もまだ明かでなく、避難民の救済・保証と汚染除去も不充分のまま政府と東電は「事故収束」を計ろうとしている。東電は事故原因の情報を隠し、調査委員会の調査妨害までしてきたので、事故の全貌もまだ明らかでない。不測の事態が次々にでて、その都度目先の対策に追われてきた。今度は事故現場近くの海側に設置した観測用井戸の地下水から、放射性セシウム134と137の急増が発見された。今後、廃炉終結まで何がでるか分からないだろう。事故原因と状況を徹底的に追求せず、しかも情報を隠蔽しているから、次々に不測のトラブルが起こり、その都度対処療法的にトラブルを処理してきた。

 以前このブログに「東電には原子力発電の管理能力なし」(4月)という一文を書いた。今度の再稼動申請の仕方を見ても、地元の了解をえられる見透しはなく、たとえ了解が取れたとしても遅れるので、他社と一斉に足並みを揃えて申請し、既成事実を作ってから地元を説得しようとしたのではなかろうか。また総合的事故対策計画と観測態勢ができてないから、先日の井戸地下水のセシウム急増にしても、原因がいまだに分からない。もう一度「東電には原子力発電の管理能力なし」と言いたい。国家管理にして、根本から事故原因を究明し、しっかりとした方針を立てるべきである。

 しかし、自民党と安倍内閣にはそれを望めそうにない。原発再稼動も政府の方針に添って進められているようだから。原発の事故原因究明も終わらず、使用済み核燃料の処理、老朽炉の廃炉などの将来計画もないままの再稼動には非常に多くの人が強く反対している。それにも関わらず、参議院選挙では再稼動を押し進める自民党・安倍内閣が圧倒的に優勢というのはどうしてだろう。やはり「意思と行動の乖離」だ。 
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