科学・技術と自然環境について、教育を考える。
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大阪市大学長選挙を認めないという橋本市長の暴言
大阪市大学長選挙を認めないという橋本市長の暴言

8月9日の朝日新聞と毎日新聞によれば、またしても橋本市長の暴言があった。
 大阪市立大学の学長選挙を廃止して、橋本市長が任命する、あるいは学長の選考会議に橋本の意見を反映させる、それが民主主義だと言った。そしてさらに「何の責任もない教職員にトップを選ぶ権限を与えたらどうなるのか、研究内容に政治がああだこうだと言うのは大学の自治の問題になるが、人事をやるのは当たり前の話だ」と。

 この暴言は、戦前の大学で、思想・信条と研究・教育の自由が奪われた苦い経験の反省から、大学の自治を最大限に認めるようになった経緯を無視するものである。市長の歴史認識の欠如がまた飛び出した。民主主義とはいかなるものか、市長の考えを聞きたいものだ。選挙で選出されれば、全権委任されて個人的な考えでも押し付けてもよいと、誤解しているのだろうか。もしそうなら、大阪市民はとんだ市長を戴き大変不幸である。

 人事は組織の運営で非常に大事なものである。組織の長によって、運営方針(大学では研究・教育方針)が左右されうる。それゆえ、戦後、大学の教員は組織の民主的運営に尽力し、教員採用人事にも関与してきた。学長、学部長の選出、および教員の採用こそが大学自治の基礎である。それなのに「何の責任もない教職員にトップを選ぶ権限を与えるのはけしからん」というのは、大学の自治と、研究・教育の本質をわきまえない思い上がりの暴言である。突然このようなことを言い出したのは理解に苦しむ。現在、大阪市立大学と府立大学との統合が橋本市長の主導で進められているが、その内容は一切漏れてこない。この統合方針と今度の学長選に関する暴言は関係があるのだろうか。

 すでに私学や国公立の一部で、学長や理事長の意向で研究の自由が制限されたり歪められたりしていることを耳にする。教員と大学理事者との紛争・訴訟が起こっているところがある。
 市長の決めた学長や理事長の意向で研究・教育方針が歪められたりすることは、直ちに起こらないかも知れない。だが、長期的には必ず運営に歪みを生じ、弊害が現れるだろう。

 市長は選挙で選ばれたとはいえ、全権を委任されたわけではない。今度の発言は大阪市大と府大の合併と絡んだものであるならば、新大学の性格や研究・教育方針が危惧される。この問題については、広く関係者や世論に問うべきである。

 いずれにせよ、この発言内容は一大学に留まらない重大な問題であるから見過ごせない。全国の大学にも影響するものであるから、広く世論を喚起し、批判すべきである。

資料:「橋下大阪市長:市立大の学長選、廃止の意向表明」
朝日新聞デジタル 8月9日(金)
 大阪市長から任命される同市立大学長が従来、大学の教職員による選挙結果に基づき選ばれていることについて、橋下徹大阪市長は9日、「ふざけたこと。そんなのは許さん。学長を選ぶのは市長であり、選考会議だ」と述べ、今秋にも想定される選挙を認めない考えを示した。市役所で記者団に語った。

毎日新聞 2013年08月09日
 橋下徹大阪市長は9日、大阪市立大の学長を教職員らの投票などで選ぶ制度を廃止する意向を表明した。今後は橋下市長の意向を反映させた選考会議で選定する方針。市役所で記者団に明らかにした。橋下市長は「僕の意見を反映させる。何の責任もないメンバーが1票を投じるなんてまかりならない。選挙で選ばれた市長が任命するのが民主主義だ」と話した。
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