科学・技術と自然環境について、教育を考える。
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物理学の理論構成
物理学の理論構成  ­ 三系列の論理と相互関係について ­

 物理教育学会近畿支部で表題の記念講演をした(5月)。その要旨と最初の部分をここに書く。この講演の内容は一昨年上梓した『物理学とは何かを理解するために』菅野礼司・南原律子著(吉岡書店)の続きである。

要旨: 
 物理学は,自然科学の中で扇の要の位置にある。物理学の理論体系の構造と論理を,緒分野の相互関係を通して詳しく考察することは,自然科学を深く理解することに役立つであろう本稿では,自然界の階層構造をふまえて,物理学諸分野を三系列に分類し,それらの相互連関を考察した。
 3系列とは、時空記述(力学、電磁気学,相対性理論など,粒子(質点)や場の空間的運動・変化を時間的に追跡する理論),状態記述(熱学,熱力学、分子統計力学などで、状態変化とその法則を記述),統一記述(両者を統一した方法で、波動論、量子論,場の量子論、素粒子論,宇宙論)である。
 また,物理学の研究方法,理論体系の特徴,理論の完備性などについても考察した。さらに,自然科学の特性をまとめ,理論転換(科学革命)についてその論理と展開を追った。

キーワード: 階層構造,時空記述,状態記述,統一記述,三系列,相互連関,研究方法,理論体系,完備性,理論転換,科学革命

1.はじめに
 自然科学,すなわち自然の仕組みを理解し,説明しうる科学的知識というものは,個々の知識,つまり概念や法則を単に寄せ集めたものではなく,それらを有機的に関連づけて築かれた一つの理論的体系である,ということをまず認識しておくべきである。自然科学のすべての分野は,みなそれぞれ独自の認識対象と研究方法をもち固有の理論体系を築いてきた。それらは,さらにまた全体で自然科学というもう一回り大きな体系をつくっている。
 だが,それらの分野は同じウエイトで平面的に並存しているのではなく,基礎分野とその上に形成されたものとがあり,立体的構造をしている。その構造において,物理学は全体の基礎になっている。すなわち,物理学は自然科学の中で,扇の要の位置にあるといえるだろう。自然界を構成しているもっとも基本的なものは,時空間と物質である。その運動・変化の仕組みを追及するのが物理学だからである。ただしそれは,すべての自然現象を物理学によって直接的に解明できるということを意味するものではない。物理的現象が基礎になっている事柄でも,物理学によってストレートに説明できない現象はいくらでも存在する。

 よく知られているように,自然界の物質の存在様式は階層的構造をなしていて,通常の物質の運動変化の現象はほぼそれぞれの階層の範囲内で生起している。すなわち,それぞれの物質階層には固有の法則があり,特有の構造を持って近似的に独立し,閉じた体系をなしている。ただし,当然ながら上下の階層にまたがる現象も起こりうる。
階層ごとに固有の法則があることが,自然科学にいろいろな分野;物理学,化学,生物学,地学,宇宙論などが存在する理由である。
 その中の物理学について,その理論体系の構造と論理を,その分野の相互関係を通して詳しく考察することは,物理学,ひいては自然科学をさらに深く理解することに役立つであろう。

(2節以下は見出しのみ)
2.物理学の諸分野とその相互関係 ‐3系列の流れ‐
3.自然科学の特性と理論転換の論理
4.物理学における理論転換の歴史(具体的事例)


(この全文は物理教育学会誌「物理教育」に近く掲載される予定。)
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