科学・技術と自然環境について、教育を考える。
  • 05«
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • »07
ノーベル物理学賞 青色LED
ノーベル物理学賞 青色LED

  今年のノーベル物理学賞は、画期的照明技術「青色発光ダイオード」LEDの開発に与えられた。授賞理由は「明るく省エネルギーな白色光を可能にした効率的な青色発光ダイオードの発明」である。ノーベル賞選考委員会は「白熱電球が20世紀を照らした。21世紀はLEDが照らす」とその意義を述べている。

 ノーベル物理学賞は、これまで主に純粋基礎理論に贈られてきた。日本の受賞者も湯川・朝永を初め南部・小林・益川も基礎物理学理論の研究者である。実験家の受賞は江崎・小柴である。これらの研究は物理学理論の発展に多大の貢献をするものであった。 
青色LEDの発明は、物理学の基礎理論ではなく基礎的技術開発であるが、技術の分野での寄与は甚大であろう。基礎技術への貢献に対して、化学や医学生理学分野では、ノーベル賞はこれまで度々与えられてきた。20世紀中には無理だと言われていた青色LED開発の功績はいずれノーベル賞の対象となると思われていた。日本の3名の科学者、赤崎勇・天野浩・中村修二3氏の受賞は嬉しいニュースである。
 
 確かにLED発光は素晴らしい技術である。その照明具は長持ち、省エネ、自然色に近いという長所を有する。LEDを利用した技術は、照明に限らず今後いろいろな分野に広く応用されて人類の生活を大きく変えるだろう。物質文化への寄与は計り知れないものがある。 しかし、LEDが21世紀を明るく照らすことになるか否かは、この技術の利用のされ方によって決まるものである。

これまでの画期的技術の発明・開発は、その応用技術を含めて、その利用が一気に進み、社会に大きな影響を与えてきたが、その効果はプラス面ばかりではなかった。製品の小型化による省資源・省エネを目指した技術が、広く普及利用されて大量の生産品を生み出し、逆に資源・エネルギーの大量消費をもたらしたものがある。例えば、トランジスターの発明は真空管に変わり、電信機器界に革命を起こした。そしてパソコン、携帯電話などが一挙に普及し、大量の製品が溢れ出した。その結果、生活は便利になったが、資源・電力は節約どころではなく、逆の大量消費をもたらした。必要以上の開発競争で、次々に新製品が作られ、売れ残り、使い捨ての無駄はひどい。
原子力発電に関しても、今更改めて言うまでもなく、その功罪は半ばするものがある。

LED技術は、21世紀を明るく照らして人類に希望を与えるように活用すべきである。それには政治・経済制度と人間精神の改革が必要である。規制のない市場原理優先の経済制度では必要以上の製品開発で弊害も出るだろう。人類は物質生活の豊かさを追求するだけでなく、同時に精神革命によって生活スタイルを変えねばならない。生活の便利さを進歩させるのみでは、精神文明は荒廃するばかりである。
スポンサーサイト
この記事へのコメント

管理者にだけ表示を許可する
 
Copyright © 2005 自然と科学. all rights reserved.