科学・技術と自然環境について、教育を考える。
  • 09«
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • »11
今こそ人類は目を覚まそう!
 今こそ人類は目を覚まそう!   

 地球環境の破壊、特に地球温暖化は、このまま進むと人類生存の危機を招くだろう。今や全人類は、地球環境異変による危機的状況を真摯に受け止め、協力してそれに対応すべきである。だが、まだ危機意識が薄くCOPの議論も、先進国と新興国は自国の利害を優先させ、有効な対策が打ち出せない。さらに悪いことに、経済支配・貿易競争、開発競争に明け暮れ、他方では民族対立による国内・国外の紛争、宗教対立、無差別テロなどが各地に拡がり激しくなるばかりで全世界は騒然としている。このような状態では、地球の環境破壊による危機には目が向かず、目先の利害や生存法を考えることに精一杯となる。
 経済・開発競争や武力紛争を止め、また、便利性や贅沢を求める生活スタイルを転換しなければならないところに来ている。人類は目覚めよ!

1.核戦争による人類生存の危機は停められた 
かって人類生存の危機は原水爆戦争であった。極度の原水爆開発・貯蔵競争により、原水爆戦争が起これば人類は絶滅する寸前のところまで行った。
 だが、その危機が叫ばれて、原水爆使用禁止、核廃絶運動が世界中に巻き起こった。当時「核抑止力」論者たちの中に
は、核廃絶運動は非現実的で児戯に等しいと揶揄する者もいた。しかし、圧倒的多数の人々の熱心かつ執拗な核廃絶運動による成果と、東西冷戦の中止と相俟って、原水爆使用禁止協定や核軍縮が進んだ。こうして原水爆戦争による人類の危機は可成り遠のいた(まだ油断はできないが)。この成果は、人類の理性的判断力、精神的健全さを示すものである。 

2.環境破壊、気候異変は直ぐには停められない 核戦争による人類の危機は誰にでも直ぐ判る。それに対して、環境破壊、特に地球温暖化は徐々に進み、その危険性を身をもって理解するまでには時間がかかる。それゆえ、地球温暖化を科学的に警告するIPCC報告を無視・批判する者もいた。近年になってやっとIPCC報告が深刻に受け止められるようになった。
 地球温暖化は徐々に進むが、ある時期にその変化が臨界点に達すると、カタストロフィックに激変し破壊的事態を招く。近年の気候異常現象の急増を見ると、近い将来にその臨界点に達するように思える。環境変化の力は大きな慣性をもっているので、急には止められない。それゆえ、早く手を打たないと、気づいてから慌てて対策を立てても直ぐは停まらないから、手遅れになる可能性が高い。原水爆による危機は、原水爆使用の禁止を核保有国間で協定すれば、直ちに止めることができるから、その効果は即効的である。だが、環境破壊の慣性(運動量)は大きいので、速効は期待できない。それを停めて危機からの脱出には時間がかかる。「30年後には地球の平均気温が2度上がる」とか「今世紀末には・・」とか悠長なことを言ってられない。

3.人類はすべての生物の天敵となった
 生物は種の保存のために、他の生物を捕食する、これが食物連鎖である。それゆえ、ほとんどの生物種には天敵が存在する。これは生物の背負った根源的な「業」である。生物は自然の脅威と天敵から身を守るため、また食物として他種の捕獲を容易にするために進化してきたといえるであろう。
 人類も発生初期には天敵に悩まされた。しかし、人類は科学・技術の開発によって、自然進化を超えて種の保存・発展の機能を獲得してきた。その獲得機能は他の生物を遥かに凌ぎ、天敵がいなくなったので全地球に繁殖した。人類は今や地球の収容能力を超えるところまで増殖した。
 人類は食物としてばかりでなく、衣食住のためにすべてにわたって他の生物種を利用するようになった。今や人類は科学・技術の力によって地球を征服したかのように振る舞っている。植物の栽培ばかりでなく動物も飼育し養殖している。その結果、自然環境を破壊し、生物の飼育・養殖などによって生物界を思うままにコントロールしている。その影響は全生物種におよび、被害をもたらしている。それゆえ、人類はすべての生物の天敵になっている。
 生物界においては、天敵となる種は食物にする種類も限られており、しかもその種が絶滅しない程度に捕獲してバランスを保っているが、人類は捕獲・採取する種と数を限りなく拡大し続けている。そして必要以上の捕獲・採取によって過去に多くの種を絶滅させてきた。現代では、自然環境の破壊によって無意識のうちに莫大な種を絶滅させているそうである。すべての生物にとっての天敵となり、多くの種を絶滅させる種、人類のような種はこれまでの地球上には存在しなかった。地球全土に広がってわがもの顔に振る舞い、人間も自然の一部であることを忘れたかのように地球を操っている、その報いは徐々に現れつつある。人類は人類自身の天敵になろうとしている。

4.慢性的経済危機 
 先進国の財政危機は構造的なもので、国家財政の赤字は累積する一方で回復困難である。新興国もやがて同じ状態に陥るだろう。
財政危機を救う方法として、金融緩和によって経済成長とインフレに逃げ道を求めようとするが、それは悪循環である。 地球環境を防ぎながらの経済成長には限界があり、実質的経済成長率は低下する。また、資本の利潤率は低下する傾向にあり、資本主義の終焉が予言されている。金融和で金はだぶついているが、融資は実質成長に向かわず、金融資本のマネーゲームに流れて、「虚の世界」が膨張し、それが人類世界を動かしている。この金融資本の「虚の世界」の膨張は資本主義経済(少なくとも物を生産し、動かす「実の世界」)を内部から蝕み堀崩している。世界経済は慢性的不安定状態にあり、慢性的危機状態にある。グローバル化世界では、一寸した局所的なマイナス要因でもカオス的に全世界に影響し、世界経済を激しく揺り動かす。
人類の人口膨張で、最早地球の収容能力を超えているから、これ以上の経済成長は無理である。産児制限で人類の人口を減らさねばならないが、新興国の人口が増加している。だが、その反面で、先進国と一部の新興国では少子高齢化が問題になっている。人口制限が粋すぎると、このような歪みが生ずる。したがって、この問題解決の道は可成り制限され、選択肢は少ない。人類はそこにもっと知恵を絞るべきだ。(「国家経済の破綻と世界経済の危機」『唯物論と現代』48号(2012)参照)
 また、そのためには、当然ながら、人類は生活のスタイルを改めて資源・エネルギーの浪費を止めねばならない。それには精神革命が必要である。科学・技術の開発のみでは地球環境は救えない。技術には限界があり、また反作用として必ずどこかに負の効果がでる。フロンガスや原発などがその典型的例である(「科学・技術革新で地球環境は救えるか」『日本の科学者』Vol.44,No6.(2009)参照)。

5.人類覚醒のルネサンス運動を! 
 環境汚染には国境がない。民族紛争・国内紛争は連鎖的に各地に起こり、難民が急増し各地に溢れている。無差別テロも国境を越えて全世界に拡がっている。戦争は人心を狂わせ人間が人間でなくなり、目が見えなくなる。テロを聖戦のためという極端なイスラム原理主義者も正常な意識と判断力を失っている。非道な無差別テロ、虐殺は絶対に許されない。イスラム教の本来の教義は「知」を尊び、学問を愛するものであったはずだ。彼らテロ集団をここまで追い込んだのは何かを考えるべきである。(注)

 紛争や戦争は環境破壊を加速させるから、人類は経済活動と紛争とで2重に環境破壊を行っている。
 地球温暖化による人類生存の危機に目を向けて、利害対立や紛争を止めるような運動を全世界で起こさなければならない。COPやIPCCなどで呼びかけ、G7もそのリーダーシップを取るべきである。原水爆禁止・廃絶運動のあの力を、再び呼び起こしてここに向ければ、不可能ではないはずだ。要は、正常な人間が目覚めて立ち上がることである。
 このような対立・紛争・競争に明け暮れていては、環境破壊による危機に目が行かない。人類は冷静になって目を覚まさねば自滅する!
 

(注) キリスト教、イスラム教の元は一つで、ユダヤ教から分離した。中世までのイスラム教は、学問を愛し理性的であり、寛容であった。
 イスラム原理主義者をここまで追い込んだのは、長い歴史があろう。中世の西欧キリスト教徒が、十字軍によってイスラム圏から領土を奪回してから、聖地の争いが続いている。 その後、20世紀になってから、ソ連の過酷な支配に抵抗するアフガニスタンの地下組織でテロが培われた。さらに中東の紛争に欧米が介入し、その政策の失敗がイスラム教の宗派間の対立を激化させた。そこに、アメリカの主導のもとで、国連がイスラエルの建国を進めるために、その地にいたアラブ人を追い払って難民化した。これが中東紛争の大きな要因の一つとなった。これらの要因が重なって、彼らを過激な反米、反欧思想を育てた。それがイスラム原理主義者の無差別テロを生んだ。特に、ブッシュ大統領が、大義なきイラク戦争でフセイン政権を倒してから、テロが世界に拡がった。
 無差別テロは、人道的にも絶対に許されることではないが、彼らをここまで追い込んだ責任はソ連や欧米にあると思う。その元を正さねば感情的対立は高まるばかりであろう。大部分のイスラム教徒は、無差別テロはイスラム教の原理に反すると信じ、反対している。彼らが反テロ運動に立ち上がるならば、過激派は孤立無援になろう。そのためには、世界は中東政策とテロ対策の方針も転換せねばならないように思う。
スポンサーサイト
この記事へのコメント

管理者にだけ表示を許可する
 
Copyright © 2005 自然と科学. all rights reserved.