科学・技術と自然環境について、教育を考える。
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大隅良典氏のノーベル医学・生理学賞の受賞
大隅良典氏のノーベル医学・生理学賞の受賞               

 今年はノーベル医学・生理学賞を東京工業大学栄誉教授の大隅良典氏(71歳)が受賞した。細胞が不要になった、蛋白質などを分解する「オートファジー」と呼ばれる仕組みを解明したのが受賞理由であった。日本科学者の3年連続ノーベル賞受賞は誇らしく、大変喜ばしいことである。

 だが、近年は基礎科学の分野で研究費が少なく、若手の後継者が落ちついて基礎研究を続けにくい環境であると大隅さんは憂慮している。もっと基礎科学を重視し、その研究環境を整えよと力説している。最近は特に短期競争的研究費が増え、すぐ成果の出る研究が評価されがちである。これでは基礎科学も若手研究者も育たない。基礎研究がしっかりしてこそ、その上に全分野の科学・技術が開花する。このままでは将来ノーベル賞の受賞も期待できないと、繰り返し述べている。

 科学は技術として役立つだけではなく、精神文明の一翼を担っている。大隅さんのいわれるように「科学は文化」である。文化国家に相応しい科学・技術政策が望まれる。それには「精神文明としての科学の復権」を計るべきだろう。私は以前からずっとそれを主張してきた:拙著『科学は自然をどう語ってきたか』(ミネルヴァ書房 1999年 「技術・科学図書出版優秀賞」)。

 それにしても、いつも思うのだが、日本はノーベル賞となると異常に大騒ぎをする。ノーベル賞は学術界で世界最高の賞であるから、特別視するのはわかる。だが他にも素晴らしい賞は多くあるのに、その受賞はほとんど無視され採り上げられない。受賞者の業績と研究内容を紹介して欲しい。そうすれば科学者になろうとする青少年も増えるだろう。この偏った風潮はマスコミの姿勢によるが、日本人の文化の対する理解のアンバランスを表すものだろう。
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