科学・技術と自然環境について、教育を考える。
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トランプ大統領出現の衝撃
トランプ大統領出現の衝撃
 
 予想を覆したドナルド・トランプ氏の当選はアメリカだけでなく世界に衝撃を与えた。これはアメリカ社会の歪みがいかに大きいかを示す世紀の事件であり、既存の政治体制と形骸化された代議員制民主主義の危機を示すものであろう。

今度の大統領候補は2人とも、それぞれ半数のアメリカ人から嫌われた人であった。そのうえ、非常識な言動のトランプ氏は共和党の幹部や有識者、マスコミから総反発を受けた。そして多く選挙民の心には今の政治・経済制度に対して不信と不満が渦巻いていた。このような状況の下で、このような候補者を選ばねばならないことはアメリカ国民にとって不幸な選挙であった。それゆえ、かえって不満と怒りのマグマが一挙に噴出してトランプ支持となり、多くの予想に反して大逆転の結果となった。これは民主主義的選挙という名の下になされた一種の革命の始まりではないかという気がする。
トランプ氏の煽動的選挙公約は、アメリカの現状に対して既成制度の破壊と「アメリカ優先主義」であった。それは社会の表面に出た現象面のみ取り上げた情緒的・煽動的なものであったから、かえって不満の鬱積した選挙民に受けたのであろう。選挙期間に見られたトランプ支持者の熱狂的様子は理性的判断を失っているように見えた。 

 トランプ氏の主な公約のスローガンは、グローバル化反対、既存の政治特権打破、アメリカ人の仕事を奪う移民排斥、人種差別、保護貿易主義(自由化反対)、外国駐留軍隊の費用の負担減などを唱え、国内の雇用増大と格差縮小、法人減税であった。しかし、これらは互いに矛盾する面もあり、すべてをそのまま実現すれば支持者間の分裂を招くだろう。実行しなければ公約違反で支持者の失望を招くというジレンマに陥る。ほとんどの公約は情緒的・煽動的なものであり、そのまま実現できるものはほとんどなく、全部そのまま実行すればアメリカ内部だけでなく、世界的大混乱を起こすといわれている。

これら諸現象はグローバル化と市場原理優先の資本主義社会、金融資本(マネーゲーム)の暴走する社会では、いずれ起こるべき必然性があり、それらの基底には共通した原因がある。その根源を正しく把握して対策を立てねば、ただ混乱を招くばかりであろう。 移民問題にしても、メキシコとの国境に壁を作るといった短絡的な発想で済むような単純なものではない。。
 
 トランプ氏は政治の素人であり、政治・外交についてほとんど知識も情報もないといわれている。それゆえ、現象のみを見た思いつき発言が多かった。当選後の言動は急に穏やかになり、現実に近づく妥協の姿勢が窺える。彼に限らず、当選後は実情を知って公約通りの政治を行う者は少ないから、当然予測されたことであるが、豹変が大きすぎると変革を望んだ支持者が黙っていないだろう。

  激しいポピュリズム(大衆迎合主義)はアメリカのみでなく、世界的な潮流になりつつある。トランプ衝動が革命の前兆ならば、世界的混乱が遠からず起こるだろう。もしそうならば、その後にいかなる社会制度が良いか、まだその答えも見透しもない。革命の収束・仕上げは、既存システムの転覆者ではなく、二代目の政治指導者によってなされることは歴史の示すところである。
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