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宇宙の自転について
宇宙の自転について 

  2019年度の京都賞(稲盛財団)の基礎科学部門に、「宇宙の3次元地図を作る国際プリジェクト」のリーダ-(プリンストン大学名誉教授ジェームズ・ガン氏)が選ばれた。

宇宙の3次元地図の作製は、目立たない地道な研究であるが、宇宙の構造ばかりでなく、宇宙進化の解明にも欠かせない重要な基礎資料であろう。この研究と関連して、私に興味のあることは「宇宙の自転」である。以前から、宇宙の自転の問題に関心があった。昔は、宇宙は全自然そのものであるから、宇宙の自転など問題にならなかった。しかし、多宇宙論まで考えられる現代の宇宙論では、宇宙の自転に意味があるだろう。

宇宙の誕生と発展進化論のシナリオが分かってくると同時に、宇宙は一つではないという多宇宙の可能性が論じられるようになった。それらの宇宙は孤立しているのか、連結しているのか確かなことはまだ言えないが、何らかの相互関連があるであろう。いずれにせよ、自然界の構成が、宇宙は一つでなく他の宇宙が存在するのであるならば、この宇宙の自転の可能性を考察することは意味を持つだろう。全ての系は静止状態にはなく運動・変化をしているから、この宇宙も絶対静止ではなく何らかの回転運動をしているだろう。

 宇宙に自転があれば、その自転の様相(自転軸とその方向、自転の向きなど)を決定することは、宇宙論の基礎的研究に大いに貢献すると思う。
 
  宇宙には右手系と左手系について、非対称な現象やものがある。たとえば、素粒子の基本的相互作用の一つ、弱い相互作用では空間反転に対するパリティ保存則が破れている。化学物質にも生物を構成しているアミノ酸は左旋光のみである。これら非対称性と宇宙の自転とが関連していないだろうか(マッハ原理)?そこで、宇宙の自転に関心を持ったのである。

 もし、この宇宙が自転しているならば、その検証は渦巻銀河の向きの分布状態から分かるはずである。地球上で台風の回転方向はコリオリー力により、北半球で反時計回り、南半球では時計回りであるように、銀河や銀河団の回転の方向の分布を調べれば、宇宙の自転軸とその方向が分かるはずである。

  宇宙創生期のビッグバン後、原子核や原子から成る一様なガス体が膨張を続けながら、ガス体が千切れて銀河・恒星が形成された。その千切れたガス体は重力により収縮を始めて銀河が形成された。もし宇宙が自転していれば、コリオリー力によってそのガスの収縮過程で銀河の渦巻きの向きが自転軸に対して決まるはずである。宇宙を球形とみなすと、自転軸に対して上半分(北半球)では左巻、下半分(南半球)は右巻となるだろうから、渦状銀河の回転状態の分布は一様でなく非対称になる。ただし、宇宙は生成以来膨張してきたから、コリオリー力にその膨張速度を考慮しなければならないので銀河(団)の回転面がずれる。それゆえ、膨張速度の影響が大きい宇宙生成の初期に生まれた遠方の銀河(団)でなく、なるべく遅く生まれた近くの銀河(団)の回転分布を調べるのがよい。それには、宇宙の3次元的地図が是非とも必要である。


 渦状銀河の回転方向の分布を観測すれば、宇宙の回転軸が判定できて、自転が検証されるはずである。回転軸から遠く、また回転軸に対して中央(赤道面)から離れた上下の領域で非対称性は顕著になるだろう。したがって、銀河の渦状態の分布について、方向のみでなく立体的な観測データが必要なのである。 宇宙創生以来、銀河が形成された後、移動しており、衝突もしているから、渦巻きの分布状態は初期のままでなく変化しているだろう。だから、シャープな分布データは得られないかも知れないが、非対称性は残っているだろう。 

 銀河のみでなく、さらにマクロな構造をもった銀河団にも回転の非対称性があるかも知れない。銀河の移動・衝突を考えれば、むしろ銀河団の回転の非対称性を見る方がよいかも知れない。

 私は30年以上前に、この問題に気づき、ずっと関心を持ち続けている。その当時、国立天文台のI氏にお願いして、銀河の渦巻き分布のデータを送って頂いた。しかし、その頃は、データの数も少なく、銀河の方向だけで、距離を含めた立体的分布は全く判断できなかった。
  その後も、その様なデータは増えていないようである。この「宇宙の3次元地図を作る国際プリジェクト」の中に、銀河(団)の渦巻き分布測定を入れてほしい。その結果に期待している。
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