科学・技術と自然環境について、教育を考える。
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食料輸送フードマイレージとハウス栽培
食料輸送フードマイレージとハウス栽培

 日本の食料自給率が4割以下であること、そしてこの状態は異常であるから自給率を高めるべきだとの警告がしきりになされている。私たちは食料のほとんどを外国からの輸入に頼っているわけである。ここには地球環境の問題も絡んでいる。

 人件費と物価の安い外国から輸入すれば、低廉価の食品を手に入れることはできる。しかし、多量の食料を遠い生産地から輸送する労力とエネルギーは相当なもので、地球環境を破壊する要因のひとつである。そこで提案されたのが、その地でできたものをその地で消費するという「地産地消」運動である。地産地消でなくとも、せめてできるだけ近くの生産地の物を使えというわけである。これは大変有意義な提案である。

 生産地から消費者までの食料輸送にかんする指標として「フードマイレージ(Food mileage)」というものがある。それは輸入食料の重量および輸送距離を総合的、定量的にに把握するために、イギリスの市民運動家ティム・ラング氏によって考案された指標だそうである。その計算式は

  フードマイレージ=(輸送された食糧の重量)x(輸出ー輸入国直線距離)  (単位:t・km)

 ちなみに、2001年の日本のフードマイレージ(国内のものを含めた値か不明)は約、9,000億t・km(農林水産省)だそうである。地球一周の距離は約4万kmであるから、この数値は約1/4億トンの物を地球1周り運んだことに相当する。このエネルギーを石油に換算するとどれくらいの量になるだろうか?計算して教えてください。

 食料だけでなく、水の輸入も相当な量になるそうだ。日本は水に恵まれ水に困らないが、干魃や水不足で困っている国は多い。輸入する水は飲み水だけでなく、輸入食料の生産に必要な水を考慮すべきである。食品を輸入するとその生産に使用された水を輸出国から奪ったことになるからである。

 だから輸入食料の中に含まれるこの水量も積算して、産地からの消費地までの移動距離を評価するのが「ウオーターマイレージ(Water mileage)」である。

 日本では飲料水として、水道水でなく、わざわざミネラルウオーターを買って飲む人がふえている。これは国内でのウオーターマイレージを増やしていることんある。最近の水道水は、浄化技術の進歩により質がよくなったから、飲み水を買う必要はないのにである。

 食料、水ともにマイレージを増やすことは、エネルギー消費であり、地球環境を悪くする要因であるから、この種の指標をつくり啓蒙することは大いに必要なことである。だが、これにつけても思うのは、ハウス栽培のことである。
 
 近年、季節はずれの野菜、果樹を一年中栽培したり、一時でも早く栽培し出荷するために、いわゆる「ハウス栽培」が盛んである。キュウリ、トマト、ナス、青菜など年中いつでも食べられる。消費者にとっては便利でありがたいことだが、喜んではいられないいろいろ問題を含んでいる。

 まず、ハウス栽培には非常に多くの資材と石油・電気が使われていることである。せっかく「地産地消」を唱えても、ハウス栽培の食品を食べているのでは、省エネルギーとしては矛盾である。
 もう一つは、春夏秋冬の季節感がなくなり、野菜・果物本来の味が忘れられ、その結果、私たちの生活はますます自然から乖離してしまったことである。それは健康にも悪影響があるだろう。四季の季節感が薄れることは、人間性が薄れ感性の豊かさも失われていく。


 フード・ウオーターマイレージを研究・調査している方にお願いしたいのは、ハウス栽培についてエネルギー消費の指標となるものを考案し、「マイレージ」指標と比較できるようにしてもらいたい。そして、国内の総量を調べて欲しい。この問題を放置すれば、ますますハウス栽培のような農法が増大するであろうからである。
 
 私たちは便利さを追うのでなく、もっと自然に触れた生活を取り戻すべきであろう。
 
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